女性主人公 犯罪を起こす 作品を紹介

生きるための情熱としての殺人

筆者が真面目に見た、恐らく最初のサスペンスドラマ

サスペンスドラマに対して言えば、それほど好んで見るわけではない。ただテレビを見ていればこれはほんとうに面白い、と言える作品に出会えれば例え内容に問題があったとしても文句はない。幼少時はそうした選り好みもあったせいか、サスペンス系のドラマはあまり好きではなかったといえる。軽くトラウマになったのは『金田一少年の事件簿』を思い出す。堂本剛さん主演のもので、この時放送されていたもので、原作でも人気の『異人館村殺人事件』の話で惨殺された死体の首が鎧の中に入っているのを見た時から事件性のある、殺人ものが子供ながらに苦手になった。それも時を経ると、今ではリングや呪怨を見て笑うまでに成長しているのですから、人間どう斜め上な方向に成長するのかわかりませんね。

そんな話は置いておいて、10代は真面目にサスペンス系のドラマが本当に苦手だったために、見ようともしませんでした。けれどその当時の筆者には珍しく、やはり女性たちを主人公にしたサスペンス系のドラマを見ていた。それもかなり熱心に最初から最後まで見ていたのだから、その頃の自分を考えたらかなり稀有な話と言える。何のドラマを見ていたのかというと、『生きるための情熱としての殺人』というものだ。

ご存じの方もいるでしょう、あの懐かしいドラマ的なくらいにかなり前となっているので記憶している人も案外少ないかもしれません。なのでそうした説明からまずはしていこう。

作品概要

凄く長いタイトル、という印象が強い。『生きるための情熱としての殺人』、どこで区切れば良いのかもわからなくなりそうな作品ですが、こちらもまた原作は小説からとなっている。初めて刊行されたのは1981年と今から35年も前というから衝撃を受ける。あの頃は若かった、なんて人もいるでしょう。

今作も原作を読んで欲しい、と言いたいところだが残念ながらそれは不可能に近いかもしれません。原作は絶版、出版社も倒産しているために古本屋でたまたま見かけたら運が良かったというレベルの作品といえる。ある意味稀覯本とも言えなくもないですが、それはそれとしてだ。

当時、サスペンス小説を読もうとしなかったためこちらに関してはどうしても手に入れることが出来なかったため、筆者の知るかぎりでのテレビドラマのあらすじで今作がどういう内容なのかを紹介していこう。

あらすじ

階堂物産に勤めている上原美津子はある時社長である階堂佑介に呼び出される。待ち望んでいた部長職につけると信じていたが、そこで彼女を待っていたのは自分の愛人になれと通告する非情なものだった。それと引き換えに部長への昇進が約束されるも、彼女はそれに応じなかったことから公私混同でキャリアから外れたこともあり、復讐を決意する。同じく、佑介に弄ばれるだけ弄ばれてゴミのように捨てられた三崎京子も、愛人となりながらも本気で愛していたものの報われずに払い下げられて今の夫と結婚させられたことを知って復讐したいと願う。そんな二人が出会い、更に京子の友人である由佳里も自身の目的のために参加するが、決め手となる復讐の道具がない。

そんな時、美津子は溜まったストレスを発散するために電車内で迷惑行為を人知れずに及んでいるところを一人の少女に目撃されてしまった。美津子は見て愕然とする、なぜならその少女はその階堂佑介の妹である、階堂杏奈と瓜二つだったのです。彼女、四条舞衣を説得する形で4人は結束、その目的を階堂佑介の殺害・遺産奪取に焦点を置くのだった。

何でもありな展開

生きるための情熱としての殺人とありますが、タイトル通りの展開が起こるかと思いきや、そこまで楽観的な内容でもない。主人公たちは自分たちを利用した・おもちゃにしたなどの動機を持って復讐し、その果てに所持している男の財産も根こそぎ奪うことに焦点を当てた。

そのためには何でもする、という風に見えるものの、実際に彼女たちが明確に犯罪行動を起こしたことといえば、物語の最初から最後までほんの数件しかないのです。彼女たち以上に暴れ回り、そして彼女たちも知らない黒い獣を飼い殺している人間がいた。

原作とかなり違うらしい

筆者が10代の頃、サスペンスドラマとして見ていた作品の中では一番面白いと感じた作品と言える。じっと見ていたのも次の展開が気になっていたのだが、今になって調べてみると実は原作と大分内容が異なっているという。元々の原作では劇中の主人公たちは5人と1人メンバーが大きく、全員が私利私欲に集まって活動していたため、団結力の欠片もなかった。作中でも最初の内は由佳里が独走してしまうなどの勝手な行動や分裂寸前まで追い込まれるなどの紆余曲折を経て、結束を強めていったのです。しかし原作では全員足踏みをまともに揃えないまま、5人いたメンバーの内、最後は2人までしか残らなくなり、あとは全員事故死などで途中退場してしまうのだ。

大分違うと言える内容だが、元の原作が読めないだけに内容をもっと読み解きたいところだ。